浜松に住む2人のママが、これまでなかった新しいタイプのランドセルを作りました。『ことゆくraccu』と名付けられたそのランドセルは、子を想う親たちの共感を呼び、広く注目を集めています。そんな『ことゆくraccu』の生みの親であり、『合同会社ことゆく社』の共同代表でもある、影山恵さん、和久田麻衣さんにお話を伺いました。
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【第3回】2人でランドセル作りを始めた理由
始まりは、小さなつぶやきから。
お2人ともに商品開発の経験があったということは分かったのですが、なぜ一緒にランドセルを作ることに?
影山:私の子どもが小学生になったことがきっかけです。新しいランドセルをばあば(おばあちゃん)に買ってもらって学校に通い始めたんですが、そのランドセルすごく重くて、辛そうで…。時代が変わっても、ランドセルは自分が子どもの頃からほとんど変わっていないってことに驚いたんです。
それで、どうしたんですか?
影山:ランドセルってどこもそうなのかな?と思ってインターネットで調べました。そうしたら、軽さを重視したナイロン製ランドセルが主流の地域もあって。いろいろ調べるうちに、ランドセルに対しての疑問がたくさん出てきたんです。高すぎる値段設定や、革でないといけない理由とか…。最初はそれをfacebookでぼやいていました(笑)。
▲2016年1月に投稿された影山さんのfacebookより。
それが始まりだったんですね。
影山:もっといろんなものがあってもいいはず…って。ないからしょうがなく…じゃなくて、もし他にも選択肢があったら「こういうのを探していた!」って人が、きっと世の中にはたくさんいるはずだと思って。同じような想いでトートバッグやマザーズバッグを作ってきた経験があったから、余計にそう思ったのかもしれません。
和久田:私はちょうどその頃3人目を産んだあとで、恵さんのランドセルに対するつぶやきをfacebookで見ていました。私も上の子が小学生になり、ランドセルには疑問を抱いていたので…。
▲2016年3月の影山さんのfacebook。和久田さんもその投稿に「いいね」を押していました。
和久田さんはどんな疑問を?
和久田:一般的なランドセルを選んで買ったのに、子どもから「肩が痛いから肩ベルトカバーを作って」と頼まれたんです。ほかにも、教科書が多くて体操服を入れるナップサックが中に入らないと言われたり…。大きくて重い割に荷物が入らず、何かおかしい、と感じていました。
影山さんの投稿をきっかけに和久田さんの中でも変化が?
和久田:はい。ランドセルに対して疑問を感じているのは自分だけじゃないのかもって思うようになりました。子どもにとって本当にいいものを作って発信していけば、何か変わるんじゃないかって。恵さんや私だけじゃなく、きっと他にも疑問を感じている人がいるはず!と思い始めました。
では、一緒にランドセルを作ろうってどちらから声をかけたんですか?
和久田:私からです。「一緒に作りませんか?」って恵さんにメールしました。3人目の産休復帰直前のことでした。
影山:私もランドセルへの疑問をSNSで発信するうちに、だんだんと「ないなら自分で作ってみようかな」という想いが強くなっていました。麻衣さんと一緒にやろうと決まったのが約3年前。それから2年かけて2人で1つ目の試作品を作りました。
試作品完成までに2年も!
和久田:はい。私は当時はまだ会社で働きながら、仕事と並行してランドセル作りをしていたので。恵さんと予定が合う週末に打ち合せを重ねていました。
ランドセルを開発する中で苦労したところは?
影山:素材選びにはこだわりました。形がキレイに出て、軽さや撥水性にも優れたナイロン素材を見つけるのが難しくて。思うようなカラーバリエーションがある生地かどうか、また、その生地を使って縫ってもらえる高い技術の縫製工場を探すのも大変でした。
試作品ができてから会社を作ったんですか?
影山:はい。完成した試作品を持って、商工会議所の起業家カフェに2人で相談に行きました。去年の5月ごろです。ランドセルなので保障の面なども考えると、個人でやるより会社にした方がいいと思って。そこで、株式会社と合同会社の違いなど、一から丁寧に教えてもらいました(笑)。
去年(2018年)はビジネスコンテストやクラウドファンディングにも挑戦されていましたよね?
和久田:はい。そこから、会社の設立準備や『はましんチャレンジゲート』への挑戦、クラウドファンディングなど、全部が同時進行で進んでいきました。
(文/島津順子)
----------続く-------------
●ことゆく社についてはコチラ
https://www.cotoyukuraccu.jp/
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