「自分たちでランドセルを作るまで」ことゆく社 ロングインタビュー第4回

浜松に住む2人のママが、これまでなかった新しいタイプのランドセルを作りました。『ことゆくraccu』と名付けられたそのランドセルは、子を想う親たちの共感を呼び、広く注目を集めています。そんな『ことゆくraccu』の生みの親であり、『合同会社ことゆく社』の共同代表でもある、影山恵さん、和久田麻衣さんにお話を伺いました。

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第1回 ことゆく社が生まれる前の話①「ありそうでないもの」を見つける仕事

第2回 ことゆく社が生まれる前の話②「自分で探して、自分で作る」

第3回  2人でランドセル作りを始めた理由


【第4回】ビジネスコンテストとクラウドファンディング

「2人だから、やれました」

合同会社を作ると決めた後は、怒涛の忙しさだったそうですが…?

影山:はい。会社の設立準備だけでなく、浜松信用金庫(現/浜松いわた信用金庫)主催のビジネスコンテスト『チャレンジゲート』とクラウドファンディングもほぼ同時に始まって…。

なぜ、挑戦しようと?

和久田:知ってもらうためです。どちらも、知ってもらうきっかけづくりと、どうプロモーションするかを考えるために挑戦しました。ビジネスプランを考えつつ、会社の概要も作って…。当時、私はまだ会社勤めも続けていたので毎日バタバタでした。(その後、和久田さんは2018年9月に前職を退社)

クラウドファンディングの反響はどうでしたか?

影山:想像以上に多くの人が、クラウドファンディングのことをSNSでシェアしてくれて。知り合いだけでなく、私たちのことを全然知らないような人も。同じような想いの人や応援してくれる人がたくさんいることに驚きました。また、クラウドファンディングで支援してくれた人へのリターン品として『ことゆくラック』を設定していたので、最初に使ってくれる人の購入のハードルも下げられたと思います。

目標金額は100万円でしたが、最終的にはいくら集まりましたか?

 和久田:143万円です。おかげさまで、最初の目的の「知ってもらうこと」はもちろん、『ことゆくラック』を仕入れる費用の一部に回すこともできました。また、同時で進めていた『チャレンジゲート』でも優秀賞をいただき、県内の新聞やテレビ番組などでも取り上げていただきました。

2人だから頑張れた、と感じますか?

影山:はい。本当にそう思います。実は、ちょうどそのころ私が体調を崩し、2か月くらい自宅療養することになってしまったんです。クラウドファンディングも『チャレンジゲート』もこれからという時で。そんな時、麻衣さんが全部メールで私に相談しながら進めてくれて。合同会社は2人ともが代表なので、サインが必要な手続きも麻衣さんがやってくれました。私は人前で話すのも苦手ですが、麻衣さんは物怖じしないタイプなのですごく心強いです。

和久田:私も同じです。私は思い立ったら1人でパーッとやってしまう性格なんですが、恵さんはワンクッション置いて冷静に考えてくれるので、私も落ち着いて進めることができました。「合同会社って難しいよ?」とか「ケンカしないの?」と聞かれることがあるんですが(笑)モメることは全然なくって。1人じゃできないことが、2人だからできているって本当に思います。

目指す先が同じだから、自然と同じ方向に進めるのかもしれませんね。仕事の役割分担はどうしていますか?

和久田:明確な分担はなくて。お互い「やれることをやる!」という形で進めています。

影山:あえて言うなら、私はずっと裏方だったので、今もパンフレットのデザインなどデザイン関係は私が担当しています。その代わり、私が苦手な、前に出てしゃべるとか経理関係などは主に麻衣さんが担当してくれています。

お2人とも子育て中のお母さんでもあるわけですが、会社を作って環境の変化はありましたか?

和久田:そうですね。『ことゆくラック』をより多くのお母さんたちに広めたいと思うと、どうしても土日が仕事になって。3人の子どもたちのことが後回しになりすぎるのも、ちょっと違うなぁと感じています。自分の子どもに我慢させすぎないように、自分の子どもを優先できるようなバランスを考えたいなと思っています。

影山:私も振り返ると、これまで怒涛の日々で。家族全員が揃う時間を取ることが課題ですね。 

そうですよね。仕事とプライベートの切り替えはどう工夫していますか?

影山:家に帰ると家での用事がたくさんあるのでメリハリをつけざるを得ない状況です(笑)。今までも自宅で2~3年仕事をしてきましたが、「子どもが帰ってくるまで」とか他のことをやるしかない状況があるから、自然と切り替えられている感じがします。

和久田:私も同じです。でも、お問合せメールなどはスマホにも届くので、すぐに返さないといけないと思うと家でもついつい仕事をしていたり…。ただ、今年2月に『ことゆく社』のオフィス兼ショールームができたので、場所ができたことでオンオフの切り替えも前よりしやすくなったと思います。 


※2019年2月に浜松市にオープンした『ことゆく社』のオフィス兼ショールーム。影山さんの弟さんが営むカフェ『fika112』を併設し、落ち着いた雰囲気の中『ことゆくラック』を試着することができる。カフェでの食事帰りに立ち寄る人も多いとか。(文/島津順子)


合同会社 ことゆく社

静岡県浜松市南区田尻町112
営業時間 11:00~16:00
定休日 月曜日

----------インタビュー記事 第5回へと続く-------------   

●ことゆく社についてはコチラ 

https://www.cotoyukuraccu.jp/


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